[:ja]『微睡み』[:]

[:ja]『微睡み』[:]

[:ja]kosaten magazine 24

『微睡み』

一言目から抑制している。
良い子ぶること前提に、
今、この苦しみを書き留めようとしている。

もう少しだ、もう少し。
この凡庸に嫌気がさしたら、
思う存分叫べるはずだ。

歌を歌えば解決する。
問題は全て解決してしまう。

頭に、
これまで観聴きしたロックスター達が、
頭をよぎる。

でも、そんなんじゃ物足りない。
地下の溜まり場に、
集い、交わされる何か…
暖かくもあり、怪しくもあり、
だらしくなく、
そして意識は微睡みの中のような…

このまま堕ちていきたい…

この凡庸さに嫌気がさしたら、
思う存分叫べるはずだ。

そしたら全ては解決する。
解決してしまう。

何て開放的な気分なんだろう。
こんな奇跡が訪れるなんて。

分かっていたはずだ。
全て分かっていた。

微睡みの中、沈んでいきたい。
その権利が僕にはある。

その資産が、僕には充分にある。

どこかにかしこまって出掛ける必要もない。
僕の居場所はきっとある。

だからもう叫んでしまおう。
この抑制された、
良い子ぶった空間からは、
もうおさらばだ。

良かったね、
良かった、
と、
微笑んでくれるあの娘が見える。

そう、
本当に良かったと思える。

ここだったんだ。
僕が求めていたのは、
楽になれるのは、
幸せになれるのは、
幸せにできるのは、
ここだったんだ。

だから、
本当に良かった。

楽しいことばかり、
幸せなことばかりだ。

再びこれまで観聴きしたロックスターが頭をよぎる。
というよりジミ・ヘンドリックスの顔が頭に浮かぶ。

意味はない。
僕のこのせっかくだらしなく気持ち良くなっている気分を加速させてくれるだけだ。

それはとてもありがたい。

このまま沈んで行こう。
そしたら超絶技巧のテクが手に入るかもしれない。

きちんとした生活はもうどうでも良い。
一度くらい、
存分に堕ちてみたい。

もう少し…。
もう少しで幸せになれる。

僕はまだ、
ロックの本当の素晴らしさを知らない。

本当の始まり。

良かった。
これでやっと、
幸せになれる。

意味はない。
尊敬もされない。
でも、これで良かったんだ。

筆を取ってアウトプットするのはオマケに過ぎない。
きちんとし過ぎている。

だからこれでいい。
これで良いんだ。

とても気持ちが良い気分だ。
きっと、初めての気分だ。

色んな人を救える気がする。
本当に良かった。

本当に僕が求めていた世界がここにあった。
本当に良かった。

(2020.02.25)[:]