【心の尺度は】


作、カンダタ

心の尺度は

その時によって恥ずかしいほど変わります。

その日の始まりは優しい光りに満ちていました。

今日はいきょんとデート、デートと言っても僕といきょんは十年くらい友情で結ばれている仲、彼女のことはよく知っている。辛いこともいっぱいある、かなり問題がある困ったちゃんだけどほっとけない、今日はそんないきょんを誘ってたまには吉祥寺井の頭公園でぶらぶら散歩して美味いものでも食おうぜ、の誘いで始まった一日のことです。
約束は12時、一時間前に僕は発車前の電車に乗った。
停車中の電車で騒がしくバタバタ走り鬼ごっこをする子供、

おいおいそんなに走り回って転んで怪我するなよ、

停車中の車内は昼の陽射しが車窓から差し込み気持ちいい、いきょん痩せちゃったから今日は美味い店連れていこう、
ここで気付いた、今日はいつもと違うなんだか優しい気持ちになっている自分がいる、
電車の車内には倖田來未のポスター、普段好きでも嫌いでもない彼女の写真を見て、
意外と愛嬌ある顔しているんだな、

かわいいじゃん……なんか今日の俺、優しい!

皆がこんな気持ちなら世界中に争いなんて起きないのに、
おいらの優しい気持ち皆に届けたい、

いつしか電車も動き出し吉祥寺駅に着いたのは約束の十五分前。まだ流石にいきょんは来ていない。
今日はどんなコースたどるかな、池でボート乗って古着屋みて名物の焼鳥いせや食べて…

そうこうしているうちに12時、

後発の電車が停まり人々が押し寄せてくる、満面のスマイルで迎えてあげるつもりだ

……12時15分、なんだ遅刻か、しょうがないな電話かけてみるか、繋がらない、電車乗っていて出れないのかな?よし来たら
(遅いぞ、ぷんぷん)と拗ねた真似でふざけて笑わしてやろう

……12時30分、おいおい随分遅いなぁメール位くれてもいいのにな喫茶店で待つこともできないしな

……1時。携帯に連続して連絡入れるが繋がらない

…1時15分やっと繋がる
(す〜ごめん目覚まし時計止めてねちゃっていたの〜)

ヒクヒク顔面が引き攣る俺
(でもね〜今から出掛けたら2時にはつくから、ごめんね〜)

はよ、こいや、

駅前を小学生が鬼ごっこして走り回っている

(バタバタ走り回ってうるせぇな)

……2時まだこない

……2時15分

………ブツブツブツブツ

……2時30分駅前をパチンコの宣伝カーが通り大音響で倖田來未の曲が流れる

(うっせ!うっせ!うっせーよっっ!!)

……3時。呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪

……3時15分いきょんあらわれ(す〜ごめん二度寝しちゃった〜)
飛び掛かりいきょんの首を絞める俺、

まちゆく人が振り向く………心の尺度はその時で恥ずかしいほど変わるものです…………