Language Beyond #15のレポート 2020年5月24日


Language Beyondオンライン読書会 方丈記

2020年5月24日(日曜日)16:30〜18:50

参加者:15名

102291405_566331647640671_8840043658809927131_n

(当日の流れ)

初めての参加者が複数名いらっしゃったこともあり、読書会は自己紹介(名前やコロナウイルス状況下で気になっていること等)から始まった。その後は「方丈記」の感想を五分程度の休憩も挟みつつ自由に話し合い、全員からのフィードバックという形で締めくくった。

(方丈記について、参加者の方々の感想)

・前半と後半で、災害のルポルタージュから文学へと変化している等、作品のスタイルに変化がある。震災やコロナ等、現代の日本もまさに無常を体験している。(Tさん)

・作品として、構成が非常にロジカルである。はかなさを表す水の泡の話に始まり、事実を並べ、そのなかで自分の選択(隠遁)を描いている。現代とも共通点がある本だ。(Uさん)

・山奥に一人で暮らせることを羨ましく思った。独りでずっといると寂しいので、他人との関わりはあったほうがいいと感じた。(Sさん)

・(鴨長明が隠遁していたことを受けて)一人は独りと一緒ではない。独り=孤立、一人=ひとりでも大丈夫、という違いがあると思う。イベントの最後に、個々の参加者の感想が聞けるとよかった。(Yさん)

・現代と鴨長明の時代と大きく違う点は、現代人は、無常観は感じていない点ではないか。改めて、本書を最後まで読んでみようと思った。(Iさん)

・コロナもそうだが、鴨長明のように独りになると、個人個人が大切なものを見つめ直し始めるように思う。しかし、鴨長明の無常観は大災害に対するもので、社会に対するそれと一概には議論できない面もある。(Kさん)

・コロナウイルスの現状について、ニヒリズムのような感覚を抱いている。その一方で、アクションを起こす、声を出していく必要性も最近感じている。(Iさん)

・飢饉の中、仏具を焚きつけにして売っている人たちをあさましいと呼ぶ描写があるが、はたしてその渦中にいる人たちにそういうことを考えられただろうか。作品が書かれた時代にあって、鴨長明もまた衰退していく貴族側の人間だったのではないか。この人が描いた歴史の向こう側にリアルなまた別の歴史があるはずだ。(Nさん)

・言いたいことは言える世の中であってほしい。鴨長明にとって、この作品は当初の予定とはまた違った書き上がりになったのではないか。(Fさん)

・鴨長明がこの時代にこういう思想のものを書いた点に感心した。本人の晩年にこれを書いたことも着目する必要がある。最後に(南無阿弥陀仏を唱えてやめたというところで)彼の人間くさい部分が垣間見えて面白かった(=鴨長明は実は悟っていない)。(Iさん)

・今回のコロナは人災か天災か、鴨長明が見た災害は人災か天災か、という点も考えてみたいと思った。(Tさん)

(運営として感じた、オンライン開催のメリット・デメリット)

オンライン開催をして良かったこと

・遠方の人も参加することができた。

・同時に複数の人が話せないため、一人一人の話が傾聴されていた。これは参加されたみなさんの協力のおかげが大きいです。

オンライン開催で留意すべきと感じたこと

・どうしても1対1の対話の連続になってしまい、対面で起こるような偶発的な・同時多発的な対話が起こりにくい。

・だからこそ、主催者が事前に問いかけや観点をできるだけ広く準備しておくこと、そしていつも以上に話の振り方に工夫することが必要と感じた。

・今回の『方丈記』はボリュームもそう多くなく、通読した上で自分の中で考える余裕が参加者にあったため、どんな方向に話が向かっても参加者みんながそれなりに受け止めることができていた。大著よりは、短めの本がオンラインの場合向いている可能性はある。

・沈黙を恐れないこと。どうしても対面よりも、沈黙が重い。しかし喋らない時間があってもよく、そこは最初に参加者どうしの確認があっても良いかもしれません。

・休憩は大切。少なくとも1時間に1回は必要。オンラインは疲れやすいと感じた。

・アプリによる参加方法について、より細やかな案内を送る必要がある。

(運営側からの感想)

・今回のブッククラブは、はじめてzoomを使ってオンラインで開催しました。オンラインでこのような会を運営すること自体初めてだったので最初はかなり緊張していましたが、結果としてはかなり深くまでしっかり話すことができたかな、と感じています。Language Beyondでは、「中心がない」ブッククラブということを大切にしてきましたので、その意味ではオンラインでのコミュニケーションにはまだまだ課題があると感じました。しかしオンラインならではのアドバンテージも大きく、こういう形も全然アリだと感じています。

最後に、今回初めてのオンライン開催のテーマが『方丈記』であったことはとても面白くて、私はzoomの会議画面を見ながら、参加者一人一人の「方丈」がここにあるのだな、と一人で興がっていました。ブッククラブの中でも、「一人であること」についての問いかけがありましたが、一人一人が自主隔離する中、一人でいる時間の意味を『方丈記』を通じて考えることができたという意味で、今だからこその有意義なブッククラブにすることができたのではないか、と思いました。(工藤)

・初めて企画に参加したが、たくさんの方に参加頂けて大変嬉しかった。反面、パソコンの操作が分からず参加できなかったという連絡も頂き、次回以降、企画者としてより細やかな説明が必要であると反省した。Zoomには参加者を少人数の小部屋に分ける機能があり、もう少し少人数で話したい時に有用かと思うが、参加者の方々のストレスになる可能性もあるので、検討が必要。「方丈記」については、ささやかなものに愛着を持った後にそれさえも否定する、という思想の過程に、幸せよりも清らかさが重要だと答えたジッドの「狭き門」を連想した。中世のステイホーム随筆は、タイムリーな選書でした(私のアパートは狭いです。さすがに方丈=四畳半よりは広いけれど・・・)。次回も楽しみにしています。(吉川)