[:ja]【鳥】
ある陽射しばかり強く少しも暖かくない午後、二人の作業員が缶珈琲を飲みながら作業の打ち合わせをしている
「この樹を伐ってしまえばよいのだろ」
「でももう十年鳥の巣にくっついた太った鳥が居座ってる」
僕は鳥だ、もう幸栄住宅の202号室のカーテンの閉まった、三畳半に二十歳からだからもう20年閉じ籠っている体重は120キロ、年老いた82歳の母と二人暮らし食事、洗濯は母がやってくれる、母はあまり難しい事がわからないようだ、僕は甘いものを食べたくないと、もう何度も訴えてるのが、
「康介、あんみつがあるぞ」
と、窓からみえる鳥の巣は巣立ちに失敗したとり、ほら、図鑑にのってる鳥だ、名前は忘れた、親がどんどん餌を持ってくるから10年間、太って巣に身体が挟まって、老親鳥が餌を運んできて食べさせている、どんな気持ちなんだろうか?僕はともだちがいない。古い漫画を読むか、昔の漫画をよむか、前の漫画をよむか、とにかく二階の窓からみえる風船のように膨らんだ鳥が僕の気持ちを代弁してる
僕は夢をみる
自分が北京ダックになり地上に首だけだして土に埋められてる
無理矢理身動きとれない僕にコックがきて口を金属であけて無理矢理、食事をさせる、苦しい、もう食べたくないとガアガアもがく
あと見る夢は
水中にいて地上から酸素が送られてこなくなる夢
袋小路になりファミコンのボンバーマンに爆弾を置かれ潰される夢
ネットで調べた【悪夢障害】というらしい。毎日ハンニバル・ライジングのレクターみたいにうなされる
母は昔のひとで難しいのがわからない
僕は発達障害らしく
やたらけむったいニィーチェだかショーペンハウアーを読む
母はあまり機能のついてない昔のブリキの風見鶏。餌を運んでくるしか機能がついてない
僕も鳥だけどただの鳥でなく、精密コンピューターだけど、バグが凄い、僕の超精密コンピューターが完璧にできるのはカップヌードルのお湯をいれてから美味しい食べ頃の【3分】を計るのみ、超精密、超高性能にカップヌードルをつくる、あとは企業でも使えずにコンピューターエンジンが火を噴いて。冷たい氷水を一日20リットルかけて機械を冷やさないといけない
親鳥ロボット
精密スクラップコンピューター
トントン、トントン、
「ん?誰だこんな夜中に?」
「すいません、すいません、こんばんは、」
僕は二階の窓をノックするのを不思議に不思議がらない、カフカの不条理みたい
「はい?どなたですか?」
「康介さんわたしです、はじめて、おはなししますね、10年前から、私を見守ってくれてましたね、鳥です、あ、どうか、カーテンはあけないで、僕は10年巣に挟まっていたけど、今晩は、巣立ちをします」
「え?お前か、巣立ち?そんなことできるの?」
「まあ、駄目だと思うけど、老いた母が僕が嫌いな甘い、甘納豆を運んでくるのに油断して、猫に食べられたのです、それと明日の朝に、僕の住んでる樹が伐採されます、僕はばれないように餌を下に餌をこぼして少し痩せて、飛んでみようと、それは私に無理だとわかってるけど、こうやって10年も延命してるのが不自然なんです。ちゃんと鳥として、自然の摂理に従うのが本当なんです。ただ康介さんにはお別れの挨拶をしたかった。康介さんにお会いできてよかったです…………」
【翌朝】
あれ?夢をみていたのか?
カーテンをあけてみると樹が伐採されてる
作業員にきいてみる
「すいません、この樹の上に鳥の巣ありませんでした」
「あったけど中味空っぽだったよ」[:]