[:ja]カンダタ
映画感想文【監督失格】
平野監督は感のよいひとだ新聞受けに鼻孔をちかづけた
こんにちは
DVD映画のレビューというかこういう映画を観たと紹介をしようと思います
監督失格
これはドキュメンタリー映画です
僕は失恋してから愛する人を失った映画ばかりみていた
ネタバレする内容なのでこの映画を楽しみにしている人は先の文章は気を付けてでもネタバレからこの映画に興味を持ってくれる方もいるかと思い筆をとりました
平野勝之46歳
職業AV監督
平野は満身創痍の中自転車を担ぐ場面からこの映画は始まります
遡り
1996年
平野はAV監督としてのデビューで
ひとりのAV女優に出会う
林由美香
まだ十代
売れっ子AV女優
平野は監督としては新米嘗められていた
相手にもされなかった
悔しかった
平野は由美香に恋をしていた
平野は由美香を見返す為にAV業界で
頑張った
由美香は男と付き合っても4ヶ月続かない女だった
平野は結婚して妻がいる身分だった
AVの世界は自由闊達
何度か仕事をしている内に不倫の関係になった
由美香は細やかな平和な家庭に憧れていた
平野は東京から自転車で北海道に一人旅に行く予定だった由美香が興味を示した
嬉しかった
平野は由美香ママに挨拶する
ママは由美香の仕事を理解していた
男勝りのおじさんかと見紛うようなラーメンチェーン店女社長由美香ママ
由美香は長いこと両親の離婚の時にママから捨てられたと誤解していた
孤独さの陰がする由美香
ママは由美香を大切に思っていた
二人の北海道の旅は本邦初AVロードムービーとして映像に記録することになった
愛の記録
ふたりの珍道中
旅での人との出会い
ママへの泣き言の電話
泣き虫由美香
ウイスキーで酔っぱらってテントで寝ぼけてトイレを済ませる由美香
沢山の由美香の映像
でも
肝心の場面が撮れていない
ふたりの喧嘩
何でも記録する平野監督でも由美香との喧嘩の場面を映像に記録する余裕はなかった
由美香は平野に言う
(監督失格だね)
このロードムービーは好評で平野の代表作になる
AVの世界は大人の世界自由闊達
それぞれ大人の事情で
由美香と平野は別れ由美香はまた別の恋をする
でも由美香が失恋で愚痴を言いたくなると
平野はいつでも深夜でも聞いてあげてた
由美香はいつも電話の最後に(ありがとうね)と
平野とAV業界の面面の飲み会由美香は過去の恋人カンパニー松尾と皆で酒を飲む映像
由美香は酒癖が昔より悪くなっていた
何か陰を持つ由美香
平野は
由美香のロードムービーのキャリアを超えようともがいていた
また違う女優と北海道に映像を撮りに行ったり
一人旅を映像にしたり
由美香とのキャリアを超えようともがいていた
出会った時は十代だった由美香ももう36歳に
なっていた
平野は新たに自分のAV監督としての集大成の映像を撮ろうとしていた
それには縁の深い由美香に出演してもらわなければならなかった
何でも映像に記録する平野は由美香のマンションに入った時から映像の記録は始まっていた
インターホンを鳴らす平野
おかしいな
約束の時間になっても由美香は
出てこない
電話も留守電
おかしいな
公園で待機する平野
あいつ仕事にルーズではない約束を守る女だ
1度だけ悪い男と付き合って監禁されていたことがある
平野は心配そう
平野は再度マンションに戻り
ドアをノックする
平野監督は感のよいひとだ新聞受けに鼻腔をちかづけた
由美香ママに電話する
平野:由美香と連絡が取れないのですがマンションの合鍵持っていませんか?
ママがくる
相変わらず男勝りで
ママ:平野さん太ったんじゃないの?こちらアシスタントの方?由美香が御世話になってます
マンションの鍵をママがあける
ドアが開く
ここからは玄関にカメラを置いて通路の映像になる
ママ:由美香?
おーい!
え?なんか、おかしいよ!
匂うよ
え?
ちょっと平野さん
部屋の通路に入るの怖いよ
平野さん先に部屋に入って
平野が部屋の奥に入る
平野:倒れてる!
現場保持!!!
警察呼んで!!警察!!
ママ:うわ〜!!!ゆみかー!!なにやってんだよおまえ!!
平野:警察ですか?
実は…
ママ:もしもし!いま由美香が由美香が!うわ〜ん!
ゆみかー!!
ゆみかー!!
お前だめだよもうこんな匂いしてるんだもん
うわ〜ん!!なにやってんだよおまえ
平野:警察早くして!
ママ:警察早くしろよ!
警察、救急隊で騒然となるマンション
平野は仲間に緊急連絡
カンパニー松尾が駆け付けて映像に撮ろうとするが泣き出して撮れない
平野は一部始終を映像に記録する
カンパニー松尾は泣きながら
(由美香が死にました)
新聞記事にはAV女優の突然の死の見出しが載った死因はアルコールと睡眠薬による事故死
告別式
沢山の弔問
AVの世界は自由闊達由美香の出棺は歴代の恋人達が担ぐ
細やかな平和な家庭に憧れていた由美香
由美香の遺影は笑っていた
平野は大変な顛末でも不思議と涙がでなかった
由美香ママはやり場のない悲しみで
由美香の死は平野さんが関係しているのではないかと疑念があった
何故、彼処でカメラがあったのか何故カメラを回し続けることが出来たのか
この映像はママ、平野、事務所三者の協議で封印されることになった
5年後
平野はママの元に訪れる
すっかり老け込んだママ
平野は5年間映像が撮れなくなっていた
ママ:あんたももう歳じゃないの?ははは
平野:僕はあの時何で映像が撮れたか
由美香にはいつも言われてた【監督失格だね】と
由美香本人から撮れと言われている気がしてならなかった
ママ:由美香が?なんかあんたの顔には由美香が張り付いているようだね
平野はママの相談事に乗ってあげるようになっていた
電話の最後はママはいつも
(ありがとうね)
由美香と同じことを言った
【あの映像使ってもいいよ】
2010年
平野はぎっくり腰の激痛の中呻いていた
編集で由美香の膨大な映像をみて
(怖い…………)
5年間泣かなかった
(怖い…………)
初めて自分の気持ちに気付いた
(由美香とお別れするのが怖い………)
ぼろぼろに泣き崩れながら
由美香と北海道を旅した自転車【由美香号】
を担ぐ
由美香とお別れするには
自分流の葬式をやらなきゃだめなんだ
普通のやり方ではだめなんだ
腰痛の激痛の中
深夜の住宅街で
自転車【由美香号】に股がる
平野勝之監督
自転車は加速する
監督は夜空に叫ぶ
ゆみかー!!!
いっちまえー!!!
うひっぐひっ
ゆみかー!
いけー!
在りし日の由美香の映像
平野:今幸せですか?
由美香:幸せです
【監督失格】
映画は矢野顕子の歌
【幸せのバカタレ】
が流れた
END
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